伊江島を背景に、生徒達がカメラを向いて好きにポーズを取っているものだった。一緒に投げキッスを決める女子生徒の横では、男子生徒数人が飛行機の形を作っている。その後ろから、背筋を伸ばしてヨガのポーズをしている男子生徒の姿もあった。

 その横にいるのは、真面目そうな男子生徒だ。彼を後ろから茶化すように羽交い締めにした長身の生徒の隣では、五人の女子生徒達が最近流行っていた振り付けの一部を再現していた。


 その一瞬の彼らの、それぞれが詰まった『いい写真』だと思った。

「いい写真でしょ」

 つい、じっくり見つめてしまっていると、そんな恵の言葉が聞こえた。

 ふっと我に返って顔を上げた。彼女を見つめ返した彼方は、「――そうだね」と抑揚なく答えた。そのまま写真に目を戻したら、にしししし、と聞き慣れてしまった彼女の笑い声がした。

「やっぱり、あなたは人に凄く興味を持っているんだわ」
「さぁ、どうだろう。僕にはよく分からないし、興味もないよ」