彼方は、しばらくぼんやりと話す様子を眺めていた。彼女がいう写真集が出来上がったところを想像して、「なるほど」と呟く。

「それで良いんじゃないか? なら掲載する写真の総数を、まずはどのテーマでどれだけ使うのか割合を出して、それからおおよそ絞りながら探すのはどうだろうか」
「どのテーマも削りたくないし、やっぱりそうするのがいいのかなぁ。秋山先生も言ってたしなぁ……」

 恵は言いながら、悪天候で気分が乗らないのをこらえるような表情で、のろのろと手を動かし始めた。しばし彼方は、彼女の肉付きの悪いが、写真を広げていく様子を眺めていた。

 見知らぬ生徒の笑顔、見覚えのある少年少女が廊下で決めポーズを取る写真。知らない土地に恵が映っている写真……それから町の公園で、子供達が親達と揃ってヒーローのポーズを取り、こちらに笑いかけている写真もあった。

 不意に、沖縄に行った修学旅行の写真が、彼方の目に留まった。