「私、あなたが休憩しているの初めて見たわ」
「僕の休憩中に君がいるのが珍しいんだ」
「あっ。そっか、なるほどね」
確かにそうね、と口にした恵が、ハッと思い出した様子で目をきらきらとさせた。
「そういえば凄く良い写真が撮れたのよ! 野球部の三年生が、途中敗退だった大会後の最後の練習試合だったみたい。なんだか感動したなぁ。これがさ、またいいアングルで!」
そう興奮したように語り出す。彼方はほんどを聞き流していて、けれど言い返す気力は戻っておらず「そう」「ふうん」「そうなんだ」と適当に相槌を打った。
外から伝わってくる活気が、少しずつ普段の様子まで落ち着いてきた。ようやく深呼吸を一つして、恵が落ちついたように椅子に座り直す。
途端にピタリと話声のやんだ室内で、彼方はようやく恵の方を見やった。まるで宝物を抱えるようにしてカメラのデータを確認する彼女の前髪が、風でゆるやかになびくのをぼんやりと眺める。
「満足そうな顔だね」
思うよりも先にそう言葉を掛けていた。
「僕の休憩中に君がいるのが珍しいんだ」
「あっ。そっか、なるほどね」
確かにそうね、と口にした恵が、ハッと思い出した様子で目をきらきらとさせた。
「そういえば凄く良い写真が撮れたのよ! 野球部の三年生が、途中敗退だった大会後の最後の練習試合だったみたい。なんだか感動したなぁ。これがさ、またいいアングルで!」
そう興奮したように語り出す。彼方はほんどを聞き流していて、けれど言い返す気力は戻っておらず「そう」「ふうん」「そうなんだ」と適当に相槌を打った。
外から伝わってくる活気が、少しずつ普段の様子まで落ち着いてきた。ようやく深呼吸を一つして、恵が落ちついたように椅子に座り直す。
途端にピタリと話声のやんだ室内で、彼方はようやく恵の方を見やった。まるで宝物を抱えるようにしてカメラのデータを確認する彼女の前髪が、風でゆるやかになびくのをぼんやりと眺める。
「満足そうな顔だね」
思うよりも先にそう言葉を掛けていた。