好きだ、好きだと僕は泣いた

 もう終わるのではないだろうか。本はそう感じてしまうほどに薄くて、彼方は一ページずつゆっくりめくっていった。

 真っ直ぐ正面を見据えて絵を描いている彼方。野球部の写真を撮る恵の後ろ姿を、ばっちり押さえた指入りの秋山撮影の写真――。

 写真が積み上げられたテーブルから、唐突に向けられたカメラにきょとんとした恵と、今にも「あ?」声を上げそうな怪訝面の自分。その写真を見て、彼方は小野にそうやって一度撮られた事を思い出した。

 次のページには「にしししし」と笑って、自分のカメラを手に持ってポーズを問っている恵と、小馬鹿にするように笑った彼方が収まっていた。そこには、またしても秋山の大きな指が写り込んでいる。

「あの先生は、指ばっかりだな」

 どうやったら、いつもそんな風に指入りで撮れるのだろうか。
 もはや一種の個性的な撮影才能なのではなかろうか。そう可笑しく感じて口にしたつもりだったのに、彼方の声は小さく掠れて震えてしまっていた。