好きだ、好きだと僕は泣いた

 夏休みが始まって少ししてから、終わるまでの日々の写真を一枚ずつじっくり見ていく。そして最後のページを開いた。

 そこには、見開きいっぱいに引き伸ばされたとある写真があった。どうやら美術室の外から窓越しに盗み撮りでもしたらしい。アングルは少し斜めで、撮影者の指が写り込んでいた。

 大きなテーブルに写真の山を作った恵が「にしししし」と笑い、その斜め向かいで彼方が呆れたように、それでもどことなく悪くもなさそうな顔をして唇を引き上げている。そんな光景が写し出されたページの右下には、『撮影協力、秋山先生』と印字されてあった。

「写真部顧問のくせに、写真もろくに撮れていないじゃないか」

 いつもの皮肉を言ってやったつもりだった。でも言葉が喉元につっかかり、ほとんど掠れた吐息しか出てくれなくて、彼方は悟ったように口閉じてしまっていた。静かに本を閉じて、裏表紙にあるひどく青い空を見下ろしたまま、しばらくゆっくりと大きく呼吸を繰り返した。