「多分、彼女の手術前には間に合うと思う。ちゃんと渡してくるからな」
そう言い残して踵を返し、そのまま遠ざかっていく秋山の背中を見送った。しばらくしてからようやく家に入って玄関の鍵を締めたものの、自分の部屋に上がる気も起きなかった。
足を引きずるようにしてリビングへと入ると、縁側の大窓を開けて腰かける。広々とした庭には美しい松の木だけでなく、色取り取りの花のプランターも置かれてあった。頭上の空には低い雲が広がり、大雨だった昨日を思わせる湿った空気が鼻腔を掠めた。
縁側のすぐ下に置かれているスリッパに、のそのそと足を入れた。受け取ったその包みは、書籍ほどの大きさをしていて、女の子らしい桃色の可愛らしい紙袋だった。
それを膝の上に置いたところで、見慣れない丸い字で『江嶋彼方(えじまかなた)君へ』と書かれている事に気付いた。
丁寧に包みを開けてみると、まず中から出てきたのは、きちんと表紙も作られた単行本サイズのアルバム本だった。それから、その後ろに真っ白で題名もない、正方形サイズの本が重ね置かれていた。それはページ数が非常に少ない薄い本で、そこには黄色い付箋が張り付けられてあった。
そう言い残して踵を返し、そのまま遠ざかっていく秋山の背中を見送った。しばらくしてからようやく家に入って玄関の鍵を締めたものの、自分の部屋に上がる気も起きなかった。
足を引きずるようにしてリビングへと入ると、縁側の大窓を開けて腰かける。広々とした庭には美しい松の木だけでなく、色取り取りの花のプランターも置かれてあった。頭上の空には低い雲が広がり、大雨だった昨日を思わせる湿った空気が鼻腔を掠めた。
縁側のすぐ下に置かれているスリッパに、のそのそと足を入れた。受け取ったその包みは、書籍ほどの大きさをしていて、女の子らしい桃色の可愛らしい紙袋だった。
それを膝の上に置いたところで、見慣れない丸い字で『江嶋彼方(えじまかなた)君へ』と書かれている事に気付いた。
丁寧に包みを開けてみると、まず中から出てきたのは、きちんと表紙も作られた単行本サイズのアルバム本だった。それから、その後ろに真っ白で題名もない、正方形サイズの本が重ね置かれていた。それはページ数が非常に少ない薄い本で、そこには黄色い付箋が張り付けられてあった。


