「あの後みんなで話し合って、お前に気付かれないように、それぞれのカメラを持って急いでコンビニまで走って、写真を現像してきたんだ。結婚式の新郎新婦は一次会でいなくなったってのに、おかげで四次会まで続くはめになったんだぜ? お前って見た目の期待を裏切る酒豪だし、結局俺しか残れなかった」
お前に付き合えるくらい酒が飲めるのって、俺くらいだよな、と彼が何気なく話を続ける。浅倉はその声を聞きながら、膨らんだ封筒の中身を取り出した。
封筒に入っていた写真は、すべて結婚式の間の浅倉の様子が写っているものばかりだった。彼女がウエディング・ロードを歩いていた時に視線が絡み合った時のものや、新郎新婦に握手を求められて応じた時の様子などが、別々の角度から撮られている。
浅倉が吸い寄せられるように、一枚一枚の写真をじっとり目に留める様子を見て、多田はその中の一枚を指してこう言った。
「人形みたいに愛想のない冷たい人間だなんて、大学時代に本気で言っていたやつは阿呆だ。見てみろよ。お前、こんな顔して笑うんだぜ?」
写真に写し出されている朝倉は、どれも幸福そうに微笑んでいた。そこに写し出された自分は、彼女と同じように心の底から感情を表情に浮かべるような、そんな年相応の青年の顔をしていて、浅倉は長い間まじまじと眺めてしまった。
新郎となった友人と熱い抱擁を交わした時の写真や、ヴァージンロードの途中で立ち止まった新婦と微笑みあった時の写真もあった。とはいえ、結婚式の間の浅倉の姿が多く残された写真は、ピン呆けや被写体の位置がおかしいものも目立った。
お前に付き合えるくらい酒が飲めるのって、俺くらいだよな、と彼が何気なく話を続ける。浅倉はその声を聞きながら、膨らんだ封筒の中身を取り出した。
封筒に入っていた写真は、すべて結婚式の間の浅倉の様子が写っているものばかりだった。彼女がウエディング・ロードを歩いていた時に視線が絡み合った時のものや、新郎新婦に握手を求められて応じた時の様子などが、別々の角度から撮られている。
浅倉が吸い寄せられるように、一枚一枚の写真をじっとり目に留める様子を見て、多田はその中の一枚を指してこう言った。
「人形みたいに愛想のない冷たい人間だなんて、大学時代に本気で言っていたやつは阿呆だ。見てみろよ。お前、こんな顔して笑うんだぜ?」
写真に写し出されている朝倉は、どれも幸福そうに微笑んでいた。そこに写し出された自分は、彼女と同じように心の底から感情を表情に浮かべるような、そんな年相応の青年の顔をしていて、浅倉は長い間まじまじと眺めてしまった。
新郎となった友人と熱い抱擁を交わした時の写真や、ヴァージンロードの途中で立ち止まった新婦と微笑みあった時の写真もあった。とはいえ、結婚式の間の浅倉の姿が多く残された写真は、ピン呆けや被写体の位置がおかしいものも目立った。