太陽が沈んだ頃 一人の少女はやってくる。 時には街の北から、また別の日には南から。 大きなフードを被っていて顔はよく見えないが 彼女の姿を見たものは言う。 ────真紅の瞳を持っている。 ────真っ黒な髪を持っている。 みんな言うことは違うものの 声を揃えてこう言った。 ────天使のように、悪魔のように美しい と。 今日も少女は不気味(きれい)な笑みを浮かべて問いかける。 楽しくて不気味(すてき)な夢はいかが?と。