母親がそっと置いていった抗生物質や軟膏を壁に投げつけて、私はスマホの画面をつけた。

見かけだけの心配をするなんて非効率な生き方だね。
情緒は消耗品だから、賢く使わなきゃ平均寿命まで持たないよ?

本当は自分が殴られなくてほっとしているくせにさ。

あぁぁぁぁあああああああああああああああああああ!

もう駄目だ。
限界だ。

私の生きる世界はこんなところじゃないはずだ。
そう信じたい。

だって私、まだ十代なんだよ?

だから、私はココロに全てを打ち明けることにした。
彼は私の話にドン引きして、態度を変えるかもしれない。
距離を取るかもしれない。

あるいは、彼は悪人で私の弱さに漬け込んで利用するかもしれない。

……怖い。
こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい。

他者を信じてみることはとても怖いことだ。

ココロを善人だと信じていたい気持ちと、実の親にすら裏切られたせいで人間不信になっている気持ちが天秤にかかった。

傾いたのは前者だった。

だって私はココロを好いているから。
だって私はココロのことが大好きだったから。