あの日、苺は最後の挑戦をすると息巻いていた。

『鳳梨、私決めた! 今日で確実に記憶喪失になる!』
『そう、頑張って』

『さては本気にしてないなぁ?』
『別にそんなことは無いけど』

『ま、いいや。私これから飛び降りる。そんで生き残ったら記憶喪失になれると思う』
『……生き残らなかったら?』

『死ぬだろうね』
『そ、んなの』

『ギャンブルだよ。私は最後にギャンブルに挑む! 鳳梨、証人になってよ』

まるで悪戯が成功したみたいな笑顔でそう言ったあと、宣言通りあの子は跳んだ。で、ギャンブルに負けた。

私はあの子の言う通り証人としてそれを見守っただけなのだ。