――――いつか、
教室のど真ん中で騒いでいるバカな連中よりも目立つように、ふたり大笑いしてやろう。

俺たちが笑ってる理由は、誰にもわからないままでいい。


傷つけられた分、傷つけ返すなんてしょうもないことはしない。
ただ一生、傷つけた痕を形に残してやる。


お前らが決めつけたものは全部間違ってる、
お前らがしてきたことは世の中からしたら悪で、

お前らが見ないふりしてきた無知を、
これから先一生、重たい鉛のような後悔に変えて、恥を知ればいい。



「―――白鳥」
「うん?」
「ボロボロになっても、白鳥はずっと俺を笑ってていいよ」



噛み砕かれた欠片を、
押し付けた唇を押し入って、背負わせる。

ひとりで息をする、それをぶっ壊したのはお前だから、
一緒に責任を取ってもらわなければ困る。



白鳥のせいで、あの日手放したクローゼットに手を伸ばした。

きっとどこに行ったって、言葉や暴力に殺される人は消えない。
くだらないな、生きててもしょうもねえな、本当に馬鹿馬鹿しい。そういうことを共感してあげられるのは、自分にしかできない。自分にしか唄えないうたがあって、きっとそれを残すことで俺たちは“生きている”ことを証明することができるのだろう。


ギターを持って、どこか遠くへ行こう。
ふたりのことを誰も知らない場所で、音楽をしよう。



こんな小さな世界で、息をするのは窮屈だ。
あと少し、あと少しだけ、耐え続ければ、終わる。

理解してくれる一人がいるから、
俺は少しの優越感と背徳感で、息をする。




「―――藍沢、」
「なんだよ」
「あんたは、誰よりもかっこいいよ」







いつか、

アイツらみたいに人の痛みも知らないようなやつが、
自分をいつまでも可愛がってどうしようもない奴が、

ありきたりなJポップを口にしてるとき。

俺みたいにボロボロになったやつが、
お前みたいにへらへら笑ってるやつが、


俺の声を聴いたときに、泣けばいい。