生きていることに意味がないなら、
私の生きる意味になってほしい。
貴方が生きている限り私は、
自分が犯している罪を一生引きずるから。
あいつらに人に傷つけられる痛みがわかるわけない。
どうせ数年後には、人を傷つけたことも忘れる。
誰かに傷つけられたことは、
された側だけが、一生忘れられないの。
アイツらは平気で大人になって、また誰かを貶して笑って、しょうもない人生を送るんだよ。
でも、私は絶対に忘れないから。
藍沢は私のこと、ずっと嫌いなままでいていいよ。
彼女はそう言って俺に手をのばす。
瞳に映る自分の泣顔を見て、彼女はまた、そっと唇を重ねる。
手を伸ばして、頬に伝う涙を掬う。
誰かを傷つけることで、自分が傷つく。
私しかわかってあげられなくてごめん、なんて酷い偽善者。
きみの気持ちがわかるから、
わたしのことも理解してほしい。
我儘で一方的な彼女を、俺は受け入れる。
どう足掻いたって、反抗したって、何もしなくたって。
アイツらに俺の気持ちなんて、解るはずもない。
口内でサイダーの味が広がる。
思い切り嚙み砕けば、大きな音を立てて綺麗なマルは崩れていく。
それくらい、脆い世界で生きている。
溶けてなくなるまで待ち続けるなんて無理だ。いつか消えてなくなるなんて、そんな確証もない期待はしたくない。
だから、反抗し続ける。
見えないところで、バレないように、これ以上傷つけられないように、自分を庇っている。
誰もいなくなった教室。
おそらくこの生涯で一番嫌いな空間。
人目を盗んでふたりで忍び込む。
誰もいない教室は、自由だった。