まるで母親のように記憶が戻ったのではないかと思わせる態度だった。

このままでもいいのか。

これから三人の思い出を作っていけば……

でもそれは容易いことでは無かった。

俺は毎日静香の病室に通った。

「真壁さん、毎日来てくださりありがたいんですが、お仕事大丈夫なんですか」

「大丈夫」

「そうですか、あのう……」

静香は俺をじっと見つめて、何か聞きたいことがある感じの様子だった。

「何か聞きたいことがあるの?」

「さっき、おトイレに行ったんですが、戻って来た時に、
病室の名前が目に止まって、私、真壁静香って言うんですか」

「そうだよ」

「真壁さんの奥様と同姓同名なんですね」

俺はそうだったと気づいた。

俺の妻は真壁静香って言ったんだったっけ。

どう説明しようか迷っていると、静香が口を開いた。

「もしかして、違っていたらごめんなさい、真壁さんの奥様は
亡くなられたんですか」

「えっ、どうしてそう思うの」