「随分と歳が離れているんですね、びっくりしました」

「子供もいるんだ、真壁翔太、五歳、凄く頭がいいんだ」

「そうですか、真壁さんのお子さんなら、きっとイケメンですね」

静香はニッコリ微笑んだ。

俺は焦ってはいけないとわかっているのに気持ちが抑えきれず
静香の手を引き寄せ抱きしめた。

「真壁さん、どうされたのですか」

「静香、静香」

俺は我に帰り、静香の身体を引き離した。

「ごめん、急にびっくりしたよね」

「いえ、大丈夫です、静香さんを愛しているんですね」

「明日翔太を連れて来てもいいかな」

「翔太くんですか」

「色々見たり聞いたりすると、記憶が戻ってくるかもしれないだろう」

「真壁さんはどうしてそんなに優しくしてくださるのですか」

「早く、記憶が戻ればいいかなって」

次の日、翔太を幼稚園に迎えに行ってから病院へ向かった。

「翔太、ママは記憶が戻ってないんだ」

「そうなの?パパと僕のこと分からないの?」