でも俺は静香の側にいてあげる事は出来ずに五年も連絡を取らなかった。

これからの俺の人生はきっと過酷な道のりだろう。

でも静香と一緒なら乗り越えられると疑わなかった。

しかし……

静香の手術はその日の夜に無事終わったと連絡が入った。

「今は眠っていますので明日、病院へお越し下さい」

「わかりました、大変お世話になりました」

俺は無事に手術が終わった事には安堵した。

しかし、問題は記憶だ。

静香が目覚めた時、俺の事は静香の記憶の中にあるのだろうか。

その夜全く眠る事が出来ずに朝を迎えた。

翔太を幼稚園に送り届けて、俺は静香の待っている病院へ向かった。

先生から手術の経過の説明を聞いた。

まだ、集中治療室で安静の状態で、俺は静香のベッドに近づいた。

眠っている顔はいつもの静香だ。

ちゃんと生きている、まずはそれだけでも嬉しかった。

しかし、静香は中々目覚める気配はなかった。

しばらくしてから、翔太を病院へ連れて行った。