静香に手術を受けさせる、そして翔太にその後の対応を説明する。

五歳の子供に母親が自分をわからなくなるなど、理解出来るだろうか。

たとえ、記憶障害になったとしても、静香には生きていて貰いたい。

そして、静香にもわかって貰わなければならない。

俺は翔太に説明を始めた。

「翔太、ママの病気なんだが、手術が必要との事だ」

「手術をすれば治るの」

「頭の中におできみたいなものが出来て、それを取る手術だ、だからおできみたいなものは無くなる」

「そうなんだ」

「ただ、すごく難しい手術だから、そのあと記憶がちょっと消えちゃうんだ」

「いろんな事忘れちゃうの」

「そうだな、そう言う事だ」

翔太はしばらく考えていた。

「パパの事も、僕の事も忘れちゃうの」

「ああ、そうだ」

「じゃあ、毎日、僕、翔太だよって言ってあげればいいね」

「そうだな」

俺は翔太の理解力と対応力に驚いた。

もしかして、事の重大性をわかっていないのかもしれない。