一番嬉しかったのは「静香は死ぬまで俺に添い遂げろ、いいな」って言ってくれた事。

でも私は自分に自信が無い。

四十五歳のおばさんを抱いて、がっかりしないわけが無い。

怖いの、嫌われたく無い。

でも、鶴見さんの事は誤解を解かなくちゃ。

私はそっとドアを開けた。

真壁くんはリビングのソファの腰を下ろし、スマホを見ていた。

「真壁くん、鶴見さんの事は好きじゃ無いから誤解しないで」

真壁くんはスマホから顔を上げて私を見つめた。

「本当に?」

「はい」

「じゃあ、俺の事は嫌いになったわけじゃ無い?」

「はい」

「ああ、良かった」

真壁くんは安堵の表情を浮かべた。

「俺が焦り過ぎたんだな、入籍も、引っ越しも静香のタイミングで構わないよ」

「あのう、翔太のことを考えると、入籍は早い方がいいと思います、それに引っ越しも翔太があんなに喜んでいるので、このマンションでお世話になりたいと思っています、でも……」

「でも、何?」