翔太は満足そうに満面の笑みを浮かべた。

先生は一枚の手紙を俺に渡した。

「あのう、お忙しいとは思いますが、今度保育参観がありまして、翔太くんのお母様にお手紙をお見せしたところ、お忙しいとのことで欠席の連絡がありました、お父様はいらして頂くことは出来ませんでしょうか」

俺は渡された手紙を読んで、すぐに返事をした。

「妻は仕事を休む事が出来ないんでしょうから、俺が伺います」

「パパ、本当?」

俺は翔太と目線を合わせるようにしゃがみ込んで応えた。

「本当だ、約束な」

「指切りげんまん嘘ついたら針千本の?ます指切った」

翔太は嬉しそうに俺を見た。

マンションに戻ると「ありがとうございました」と静香は俺に頭を下げた。

「先生に挨拶しておいた、折を見て苗字変わりますって伝えておいたよ」
「そうですか」

静香の表情は何か悩んでいる様子だった。

「静香、今日仕事は何時から?」

「今日は休みです」

「そうか」

「真壁くん、もうお仕事に行って下さい」