「僕は自動車メーカーの社長で鶴見潤だ、静香さんとお付き合いをさせて貰っている」

「俺は翔太の父親、真壁不動産社長真壁翔だ、静香は俺の女だ、手を出すんじゃない」

「君か、約束を守らない男は」

「はあ?」

「五年以上静香さんを放っておいて、何が俺の女だ、静香さんは君に愛情は感じていない、そうだろう?静香さん」

静香は答えに困っている様子だった。

俺はそっと翔太に耳打ちした。

「翔太、ママのバッグを持って来い、それから部屋の鍵をかけて、おれについて来るんだ、いいな」

「うん」

俺は静香の手を引き寄せ「俺のマンションに行くぞ」と声をかけた。

俺は鶴見に対して「そこ、どけよ」そう言って静香と翔太を連れて車に乗り込んだ。

鶴見は呆気に取られて、何も出来ずにいた。

後ろの座席に静香と荷物を押し込んで、助手席に翔太を乗せた。

「真壁くん、私、あなたについて行くなんて一言も言っていません」

「ばかやろう、翔太の父親は俺だ、だから静香の男も俺だけだ」