「さあ、アパート戻ろう、ママびっくりするな」

「そうだね」

翔太と手を繋いでアパートへ向かった。

首から下げていた紐の先にはアパートの鍵が付いていた。

その鍵でドアを開けて俺を迎え入れてくれた。

「お前、偉いな」

「留守番出来ないとママが困るんだって」

「そうか、ちゃんとママを守ってくれていたんだな」

「うん」

それから、俺は五歳の男の子が興味ありそうなゲームを誕生日プレゼントに持って来ていた。

読み通り、翔太は大喜びだった。

アパートの部屋を見渡すと、慎ましやかな生活を思わせる雰囲気だった。

おもちゃも買って貰えず、我慢していたのだろう。

ごめんな、俺がもっと早くに日本に戻って来れたなら、お前や静香にこのような生活はさせずに済んだのかもしれない。

ゲームを楽しんでいるとドアがガチャっと開いて静香が帰って来た。

「翔太、遅くなってごめんね」

「お帰りなさい、ママ」

「お疲れ様、静香」
私はびっくりし過ぎて固まった。