横溝は俺の手を自分の胸に触れさせた。

そして、自分の手を俺自身に触れて来た。

「社長、身体は正直です、女性の温もりを求めているんです、それが普通の反応です」

横溝はおれの頬を挟んでキスしようと唇を近づけて来た。

俺は横溝の誘惑に負けそうになったが、静香の泣き顔が脳裏を掠めた。

横溝を引き離し「帰ってくれ、もう二度とプライベートでは俺に関わるな」そう言って部屋の外に追い出した。

この時横溝はプライドをずたずたにされて、落ち込んでいた。

俺は横溝を本社に戻した。

お互いに一緒にいるべきでは無いと判断した結果だった。

社長秘書から専務秘書に移動して貰った。横溝のキャリアに傷をつけたくなかった。

俺は益々窮地に立たされたが、これから三年以内に目処をつけて俺は日本に戻る決意を固めた。

静香が他の男を選んだとはどうしても信じられなかった。

俺は敢えて静香とは連絡を取らなかった。

静香の声を聞いたら側に置いておきたい衝動に駆られる。