まさか、横溝の嘘とはこの時は分からなかった。

俺も相当疲れていた為、頭が回っていなかった。

静香、妊娠しなかったのか、全然連絡出来ないから不安になるのも仕方ない事だな。

くそっ、俺は自暴自棄になっていた。

横溝は俺を手伝う為、アメリカ支社に留まるとの事だった。

横溝は仕事が出来るから俺の右腕としてよく動いてくれた。

プライベートでも食事を作ってくれたり、アメリカでの生活で借りたマンションの掃除など、まるで夫婦同然のような関わり方だった。

ある日、横溝は俺に抱きついて来た。

「社長、お疲れでしょうから、私を抱いて下さい、少しでもお役に立ちたいんです」

「俺はそんなつもりで、部屋に招いている訳ではない、もう帰ってくれ」

「寂しくないんですか、温もりを求めているんじゃないですか」

「俺は静香以外の女は抱く気になれない」

「静香さんは社長以外の男性を選んだんですよ、それでも、信じられるんですか、女はいつも側にいる人が一番なんですよ」