真壁くんの隣にいるその女性はまるで、婚約者のような雰囲気を醸し出していた。

俺は社長室に入り、戸惑っていた。

すぐにでも経理部に行って静香を確認したかった。

三年だぞ、三年。まさか誰かのものになってないだろうな。

急に不安が押し寄せて来た。

俺は経理部に向かっていた。

途中で、横溝が俺を呼び止めた。

「社長、何処にいかれるのですか」

「あ、えっと……」

「すぐにリモート会議が始まります、社長室に戻って書類の確認をお願いします」

「すぐに戻るからちょっとだけ」

「いけません、私は会長から社長をよろしくと頼まれた責任があります、スケジュール通り動いてくださらないと困ります」

「わかったよ」

俺は渋々横溝の言う事に従った。

横溝は仕事はすごく出来る、しかし、女としては全く魅力を感じない、まっ、静香以外は眼中に無い為だろう。

アメリカにいた時の方が、笑顔だった。俺の秘書だから緊張しているのだろうか。

この時の横溝の気持ちは全く読めなかった。