自分からスマホの電源を落としておいたのに、しばらくしてからは、真壁くんの連絡を待っていた。

電源を落としておいたのに、連絡くれる訳がない。

真壁くんに会いたい、真壁くんの声が聞きたい。

私は真壁くんが送ってくれたメールを何度も何度も読み返して泣いていた。

そんなある日、後輩の恵美ちゃんが真壁くんの情報を入手した。

「静香先輩、真壁くんが日本に戻ってくるらしいですよ」

「えっ、真壁くんが……」

「しかも、真壁不動産社長に就任したそうです」

「社長?」

私は驚きに身体が固まった。

真壁くんが日本に戻ってくる、しかも社長として……

益々手の届かない存在になってしまった。

次の日、真壁くんの社長就任の挨拶がリモートで行われた。

その画面を私は食い入るように眺めていた。

次の瞬間、予想を遥かに超えた出来事に身体が震えた。

アメリカで真壁くんのマンションから出て来た女性が、真壁くんの秘書として日本勤務になった旨も発表された。