思わず駆け寄ろうとすると、後から可愛らしい日本人女性が真壁くんの後を追いかけて、腕に絡ませた。

私は姿を隠した。

すごく楽しそうな笑顔を見せていた。

真壁くんはと言うと、照れくさいみたいに女性の腕を振り解こうとしていた。

なんだ、彼女がちゃんといるんだ。

そうだよね、誰が好き好んで年上のアラフォーを相手にしないよね。

私は急いでその場を離れた。

落ち着け、落ち着け、私。

そうよ、これが現実、当たり前よ、真壁くんは若いんだから、彼女の一人や二人いたっておかしくない。

同じ経理部の先輩の相手をしてくれただけだから。

そうよ、のこのこアメリカまで来ちゃった私が悪い。

私はホテルに向かっていた。

一週間もどうしよう。

私はショックと疲れで眠りについた。

気がつくと、朝の五時半だった。

急にスマホが鳴った。

真壁くんからだった。

どうしよう、電話に出ないと心配するよね。

「はい、静香です」

「静香、寝てた?」

「えっ?あ、はい」

「そうか、珍しいな」