「もう、暗くなってきちゃった、どうしよう」

私はうとうとして眠ってしまった。

俺は必死に静香の行方を探した。

その頃、会社では大混乱だった。

大口の商談の時刻が迫っていたが、未だに社長と連絡が取れない。

専務の後藤は恥を忍んで取引先に連絡を入れた。

「申し訳ございません、社長が急用で本日の商談ですが延期にして頂く訳にはいきませんでしょうか」

「その事でしたら、真壁社長よりご連絡頂いております、奥様が命に関わる大変な状態だとか、記憶障害を患っており、
行方が分からないとのこととお聞き致しました、商談の延期は了解致しましたので、ご安心ください、私の妻も病気を抱えておりまして、ご苦労は分かります」

「そうでしたか、お気遣い頂き感謝申し上げます」

「素晴らしい社長ですね」

「ありがとうございます」

そして電話を切った。

全く、真壁社長にはヒヤヒヤさせられる、こっちにも連絡くれたらよかったのにと
後藤はやれやれと言った表情を見せた。