スマホが繋がらないのは、何か静香の身に起こっているのか、それともマンションに忘れたのか?

とにかく早く静香を見つけないと……

「静香、静香」

大きな声で叫んでも返事は無かった。


その頃、会社では大混乱だった。

「社長はどこに行かれたのですか」

専務の後藤は秘書の金山に食ってかかっていた。

それはそうだろう、大口取引が決まるかどうかの大事な商談なのに
社長の行方が分からないなんて……

「申し訳ございません、奥様にスーツを届けて頂いて、奥様が帰られたと告げると、慌てて探しに出てしまって、
スマホにご連絡入れているのですが、お出になりません」

「全く、子供じゃあるまいし、確か社長より十五歳位年上だろう」

「そうなんですか、でもとても可愛らしい感じで、なんか放っておけない雰囲気があって
男性は守ってあげたいと思うんでしょうね」

「社長夫人としてはどうかと思うがな」

「何度も社長に連絡し続けてくれ」

「はい、かしこまりました」

俺は金山からの着信は無視している。