【神繋】


 「わかったよ…昔からの仲とはいえ僕の方が地位上なんだから敬語くらい使ってくれよ‥」

そう嘆くが遷神は大神使の言葉を無視して相変わらずのペースで進んでいく

刑場に着いたとき大神使が耳打ちして言った
「これ付けていきなさいな」

大神使が遷神の耳に神達の紋章が刻まれているピアスを付けた。

「鏡で見てごらん」

言われるがままに遷神は刑場に飾られている鏡を覗きこんだ

「は‥?え…?なにこれ」

鏡に映る遷神の顔は驚愕していた

「なにって。神繋だよ。一度くらいは聞いたことがないかい?」

そう言い大神使は遷神の反応を見て、不思議そうに首を傾げる

「あるさ。でもあれは伝説上にしか存在しない物じゃなかったのか?」

自分の耳につけられている神繋を鏡越しにまじまじ見ながら呟く

「確かに‥伝説かも?大神使の家系が一代につき一個しか作り出すことができない物だからね」

それを聞いた遷神は大神使に問いかける

「なぜそんなものを俺に?大切な物なんだろう?」

大神使はどこか遠い所を眺めた後微笑んで言った

「大切な物だからこそだよ。これから先もし君が死という境界線ギリギリを辿ることがあったら。使いなさいな。少しくらいは役に立つはずだよ」

「効果というか何ができるかは知ってるよね?僕との接触と神の過保護が受けられる。ただそれだけだけどね」

大神使の言葉を聞いてやばい人を見るような目で遷神が大神使に視線を送る

「ただそれだけって‥お前の価値観狂ってんな。まぁありがたく受け取っておくよ」

そう言いピアスを撫でるように触った