俺は黙ったまま俯いた。

俺がやってきた事があゆみを苦しめていたなんて。

その日仕事を終えてマンションに向かった。

「あゆみ、あゆみ」

「お帰りなさい」

俺はあゆみを抱きしめた。

急な俺の行動にあゆみはびっくりしていた。

「どうしたんですか」

「俺はあゆみだけを愛している」

そして、あゆみを抱き上げて、寝室へ運んだ。

「凌、待ってください」

「待てないよ、あゆみに悲しい思いをさせて、俺はそのことに気づきもしないで、放って置いたんだからな、ごめん、俺の軽率な行動で俺は……」

あゆみを抱こうとした時「待ってください」とあゆみが俺の手を止めようとした。

目に一杯の涙が溢れて肩を震わせていたあゆみが俺をじっと見つめた。

「凌、私はヤキモチを妬きました、凌の接客を目の当たりにして、なんか凌が違う世界の人に見えて、私を愛してくれている事が不思議で、いつかは遠くに行ってしまうんじゃないかと不安になって、凌の接客は見たく無かったんです」
「あゆみ」