黙って話を聞いていたあゆみが口を開いた。

「凌との出会いは奇跡だと思っています、ときめく男性に巡り会えなくて、私はこのまま年老いていくんだろうって諦めていました、だからあの日の凌との出会いは神様からの贈り物って思いました」

「あゆみ、大袈裟だよ」

俺は照れ臭くなり頭をかいた。

「大袈裟じゃないですよ、それに確かに過酷な出来事の連続でしたけど、何回も奇跡が起きて信じられませんでした、凌は私に沢山の初めてをくれました、凌と一緒にいる事、同じ時間を生きていく事が私の夢です、だから凌も自分の夢を追い続けて欲しいんです」

「あゆみ」

「確かに凌との子供はいらないって言ったら嘘になりますが、でもお互いに無理をしない状態で自然に授かればって思っています」

「実はもう店はある人物に任せたんだ」

「えっ?そうなんですか」
「そろそろ奴が来るから帰ろう」

「奴って誰ですか?」

あゆみは急な出来事に戸惑っていた。

俺とあゆみはマンションへ向かった。

「今日の夕飯は何?」