さらに俺の中の選択肢にはなかった手術で、生存率は格段に上がった。

俺には出来なかったその選択をしたのがあゆみだった。

認知機能障害のリスクがあると、医者から伝えられて、自分を忘れられてしまうと言う恐怖と闘いながら、俺の将来を考え、手術と言う選択をしてくれたあゆみに感謝しかない。

あゆみに惚れて、自分の希望を叶える為に、契約結婚を申し出た俺についてきてくれて、病気の俺を支えてくれて、認知機能障害の恐怖と闘いながらも一途に俺を愛してくれている。

あゆみの望みはないのか?

俺と出会うまで、男性経験は全くなかったあゆみ。

全てが初めての経験で、俺との出会いは奇跡だと言っていた。

妊娠も内心とても喜んでいたと記憶している。

しかし、流産と言う悲しい結末を迎え、追い討ちをかけるように俺からの別れを告げられ、俺はなんて残酷な事をしてしまったんだろう。

俺はあゆみに聞いてみた。

「あゆみ、何か望みはあるか」

「どうしたんですか、急に」