「これからいろいろ質問していきますね、思い出したのは、奥様の妊娠の事でしょうか」

「そうです、この間、産婦人科に検診に行くって聞いたんですが、いつだったか覚えていなくて……」

「そうですか」

「あゆみから2年も前の事だと聞いて、しかも流産したって教えてくれたんですが、その事は覚えていなくて」

「後、覚えている事はありますか」

「いつもあゆみは笑顔を見せてくれています、でも俺の思い出すあゆみは泣いているんです、だから2年前俺はあゆみに酷い事をしたんじゃないかと心配で、でもあゆみはずっと俺はあゆみの側に居て、支えてくれてたと……」

あゆみは俺の話を聞いて、涙が溢れて止まらなかった。

「あゆみ?どうした?大丈夫か」

「ごめんなさい、大丈夫です」

「お二人は仲がよろしいようですね、心配は入りません、奥様はずっと麻生さんを支えていましたし、麻生さんも奥様を支えていましたから」

「そうですか」

「少しずつ、記憶が戻って来る可能性は高いと思われます」