「あゆみ、指輪は外せないって言ってたけど、それは別れたご主人を忘れられないからだろ?なのに俺の名前を読んでキスしてくれたことがあったし、俺のこと受け入れてくれただろう、それは何故?」

あゆみはしばらく考えていた。

「俺、考えたんだけど、もしかして、別れたご主人と俺って似てるのかな、それに名前がりょうって言うんじゃないの? それなら今までのことが納得いくんだけど」

あゆみは何も言わずに俯いていた。

「俺さあ、代わりでもいいから、俺の側にずっといてくれ」

あゆみは黙ったままだった。

それからしばらくして、加々美社長が俺の店にやってきた。

「君を指名出来るかな、大事な話がある」

「大丈夫ですよ」

加々美社長はドンペリを入れてくれた。

「話ってなんですか、あゆみは渡さない」

「これを見てくれ、特別ルートで手に入れた君の戸籍謄本だ、君は結婚して離婚歴があるんだな」

「はあ? 俺は結婚してねえけど」

「結城あゆみさんと結婚して、離婚しているよ」