「あれ、あゆみは?」

「店長なら加々美社長と大事な話があるとかで、出かけました」

俺は嫌な気持ちが脳裏を掠めた。

俺はこの時あゆみを誰にも渡したくないと強く思った。

あゆみ、俺の心はお前に伝わってないのか
俺は次の日店を休み、あゆみの閉店時間を待った。

まもなく、高級車が店に横付けされた。
その車から出てきたのが、この間あゆみと食事をした男だとすぐにわかった。

「あゆみさん」

「加々美社長、どうされたんですか」

「またあゆみさんと食事したくて、付き合って欲しい」

俺は車から下りて、あゆみに近づいた。

「あゆみ、お疲れ様」

「凌、お店はどうしたんですか」

あゆみは驚いた表情で俺を見た。

「話があるんだ、さあ行こう」

俺はあゆみの手を握り、車へ連れて行った。

「ちょっと待ってくれ、君は誰だ、あゆみさんは僕と食事に行く約束をしている」

「そんなの関係ない、俺以外の男と食事なんて、許さない」

その男は「失礼なやつだ」そう言って、あゆみに近づいた。