また、記憶がなくなったらと思うと、心が凍るほど怖い。

私と凌は夫婦だった、あなたは記憶がなくなり私と別れたことは覚えていない、あなたはとても優しい人、真実を知ったら、凄く苦しむと思う、だから、言えない。

あれから毎日、俺はあゆみの店にやって来た。

そして薔薇を買い、あゆみにプレゼントした。
初日は一本、花言葉は「一目惚れ、あなたしかいない」
二日目は三本 花言葉は「愛しています」
そして、今日は五本 花言葉は「あなたに出会えた事の心からの喜び」

俺の気持ちはあゆみの心を次第に溶かしていく。
あゆみは俺の手を取ってしまうのが怖いと感じていた。

「また明日来るよ」

私、どうしたらいいの?
そんな矢先、加々美社長があゆみを食事に誘った。

「あゆみさん、大事な話があるんだ、食事でもしながら、どうかな」

「わかりました」

それから加々美社長とあゆみは食事へ出かけた。
友梨ちゃんが店を見ててくれるとのことで、この日は店を友梨ちゃんに任せた。

そこへ俺はやってきた。