「じゃあ、俺と一緒に暮らそうよ」

あゆみは顔が真っ赤になり、戸惑っている様だった。

「あゆみ、可愛い」

「からかわないでください」

「からかってないよ、指輪なんで外さないの?」

俺は不思議だった、もしかしてまだ忘れられないとか?

「別れたご主人を忘れられないの?」

あゆみは俯いて答えなかった。

「なら、俺が忘れさせてやるよ」

「えっ?」

俺はあゆみを抱き寄せたキスをした。
私は凌を目の前にしてもう涙が溢れて止まらなかった。

一年前、別れてくれって言われて、忘れられなくて、そんな時凌は現れた。
でも私の記憶は無い。

別れてくれって言ったのに、一年経って記憶のない状態で、私を口説いている。
病気の事も、私に対して酷いことをした元主人のことも、自分とはかんけいないと思っているから、彼に本当のことは言えない。

「あゆみ、指輪を外して、俺を好きになってくれ」

「指輪は外せない」

「じゃあなんで俺を受け入れたんだ」

あゆみは俯いて答えなかった。