「麻生さん、私は、はなし……」

あゆみがそこまで言いかけて、俺はあゆみのシートベルトをして、車を発進させた。

「あゆみさん」

俺はあゆみを呼び止める男を振り切り、スピードを上げた。
マンションにつき、部屋に入ると、俺はあゆみを抱き寄せた。
この時俺は気づくことが出来なかったが、あゆみに三度目の一目惚れをした。

「俺達は何処で会ったの?」

「私の勘違いでした、気にしないでください、私帰ります」

あゆみは俺の腕の中からすり抜けて行こうとした時、あゆみの手を掴んだ。

その時、左手の指輪が目に止まった。

「あゆみ、結婚してるの?」

あゆみは慌てて指輪を隠そうとした。

「さっきの男はご主人?」

「違います、加々美フラワーアレンジの社長です」

「店長なんて凄いね、花は好きなの?」

「はい、お花の店を持つのが夢だったんです」

「ご主人は何してる人?」

「離婚したんで私は一人で暮らしています」

俺は落ち込んだ気持ちが一気に舞い上がった。

「マジ?」