俺は、引き寄せられる様にあゆみに近づき、頬の涙を拭った。

「大丈夫?」

「何で初めましてなの?」

「え? 前に会った事ある?」

凌の記憶に私はいないんだ。

「あ、私の勘違いでした、あの、このお話しはなかったことにしてください、失礼します」

「待って、俺、なんか気に触る様なことしたかな」



「いえ、何も、それじゃ」

俺はあゆみを引き寄せ抱きしめた。

「俺のマンションに行こう、このまま帰したくない」

俺はどうしたと言うんだ、凄く身体があゆみを求めてる。
キスしたい、あゆみを抱きたい。
これじゃまるで身体目当てと思われる。
この感じは懐かしい気がする。
どうしてなのか、思い出そうとしても、あゆみの記憶は俺の中には無い。
お前は誰なんだ。

次の瞬間、あゆみは俺の名前を呼んだ。

「凌」

あゆみの唇が俺の唇に触れた。


俺の中の気持ちが大きくなり、あゆみを抱いた。

あゆみとマンションで朝を迎えた俺は、あゆみを帰したくなかった。

「あゆみ、離したくない」