しばらくそんな状態も落ち着き始め、平穏な日々が流れた。

しかし俺はあゆみとの別れを決意していた。
この先、あゆみにこんな辛い思いはさせる事は出来ない。
もし、記憶が無くなり、あゆみを分からなくなったら、2回もそんな思いをさせる事は出来ない。
記憶があるうちに、あゆみと別れようと決意した。


「あゆみ、俺と別れてくれ」

あゆみは固まって戸惑いを隠せない様子だった。
しばらく沈黙が続き、あゆみは口を開いた。

「分かりました」

そして、俺とあゆみは別れた。
その後やはり不安は的中した。
激しい頭痛と手の震えが繰り返され、耐えられない痛みに気を失ったことさえあった。
そして俺の記憶からあゆみは消えた。


俺はある日、店のリニューアルオープンに向けて、花の注文を選ぶため、フラワーショップのホームページを検索していた。


「加々美フラワーアレンジショップ」が目に止まった。
ホームページに凄く惹かれた。
店長 結城あゆみ 店の紹介やプロフィールが俺の心に響いた。