この時俺は自分でも分からない気持ちが心の中を占めていた。
あゆみが謝れば謝るほど、嫌な気持ちが膨らんでいった。
俺の知らない俺に対してのあゆみの気持ちに嫉妬した。

あゆみが愛しているのは俺じゃない。
俺が覚えてない俺とあゆみは愛し合い、子供が欲しいと告げ、二人で……
頭がおかしくなりそうな位に、俺は俺に嫉妬の炎を燃やしていた。

「あゆみ、俺を愛してくれ」

「凌が大好きです」

「違う、あゆみが愛しているのは俺じゃないだろう」

あゆみは驚いた表情を見せた。

「俺が覚えていない俺を愛しているんだろ?」

その時激しい頭痛が俺を襲った。
蹲り、頭を押さえて、激痛に耐えた。
あゆみは「凌」と叫んで、俺を抱きしめた。

俺はあまりの痛みに気を失った。
目覚めた時、あゆみは俺を覗き込んだ。



「誰?」

俺はあゆみがわからなかった。
あゆみは手を小刻みに震わせて、「凌、凌、私よ、あゆみよ」
そして、俺の手を握ろうとした。
俺はその手を振り払った。