手の震えも日に日に酷くなっていた。
あゆみには黙っていたが、ある日、俺は手の震えをあゆみに知られてしまった。


「凌、どうしたの?手が震えているの?」

「ごめん、黙ってたんだけど、しばらく前からなんだ」

あゆみは震える俺の手を握りしめた。
すると気持ちがすっと楽になり、手の震えが止まった。

「震え止まりましたね、良かった」

どう言う事なんだ、あんなに苦しんだ時間は、あゆみに手を握って貰っただけで、解決するなんて……

俺は手の震えが止まり、睡魔に襲われた。
しばらく眠れない日々が続いていたからだ。

俺がうとうととしている間、あゆみはずっと手を握ってくれていた。
不思議だ、安心して、気持ちが楽になる。
俺はあゆみが側にいないと、生きていけないのか。

そんな矢先、あゆみが腹痛を訴え、病院へ運ばれた。
あゆみは流産してしまった。
あゆみはずっと泣きながら、俺に謝っていた。
「凌、ごめんなさい、あんなに子供欲しいって言っていたのに……」