「だって、全然抱きしめたり、キスもしてくれなくなったから」

そう言ってあゆみは泣き出した。

俺は自分の気持ちだけで、行動した事を反省した。

「ごめん、あゆみ、こっちへおいで」


あゆみは泣きながら、俺に近づいて来た。

「他に好きな人が出来たりしてないよ、あゆみを抱きしめたり、キスしたりすると、俺の気持ちが止められなくなるから」

あゆみは俺をまっすぐに見つめた。
そんなに見つめられると、我慢出来なくなる。
俺はあゆみにチュッとキスをした。
あゆみとの生活は順調に進んでいた。
しかし、また記憶がなくなる事はないとは言い切れないと、診断を受けていた。
そんな不安を抱えながらも、あゆみとの生活は幸せだった。
ところが、ある日、朝起きた時に隣で寝ているあゆみを認識出来なかった。
一瞬だが、あゆみとわからなかった。

目を閉じて深呼吸をして、また目を開けてあゆみを見た。
あゆみは俺の行動に不安を感じたのか、俺の名前を呼んだ。

「凌、凌、大丈夫」


「あゆみ」

記憶が戻ってきた。