「契約だから気にしなくて大丈夫ですし、私を好きになってくれての結婚じゃないので、なんで、私と結婚したんだろうって不思議ですよね.」

「いや、そんな事ないよ、俺があゆみに惚れて、プロポーズしたんだと思った」

俺の言葉に驚きの表情を見せた。

「だから契約解除でも大丈夫ですから」

あゆみは無理をしていると感じた。
もし彼がそうするって言ったら、私、どうすればいいの?
その瞬間俺は自分でも信じられない言葉を口にした。

「契約解除はしない」

あゆみは俺の言葉に固まった。
嘘!信じられない、彼の中に私の記憶は無いのに……

程なくして俺は退院した。
俺の記憶の中にあゆみはいない。
しかし、あゆみを抱きしめると、俺の胸が熱くなる。
笑顔を見ると落ち着く、これはどう言う事なのか。

あゆみは俺達の結婚は愛が無い契約だと言った。
でも、俺はあゆみに対して、自分でも理解出来ない感情を抱いている。
これは好きって感情だ。