俺はホストクラブを経営し、自分自身でもホストの仕事をしている。
店では指名ナンバーワンである。
本名も源氏名も同じ、麻生 凌。
自分で言うのも変だが、これでもすごく一途。
好きな女が出来ると、周りが見えなくなる。
恋は盲目って、俺の為の言葉と思う位の勢い。

25歳の時、一人の女性と恋に落ちた。
しかも15歳も年上の結城あゆみだ。

俺はある日、俺の地位を妬む連中にボコボコにされて怪我を負った、
ホストにとって商売道具である顔に……

その見ず知らずの俺を、部屋に入れて怪我の手当てをし、飯を食わせてくれた。
それがあゆみだった。
この俺をじっと見つめるあゆみに、俺は吸い込まれそうになった。
優しい眼差し、透き通る肌、無邪気な振る舞い。
若い頃からこの世界で生きてきた俺は、全ての女は何かを企み、嘘で塗り固まられた見かけだと思っていた。
俺を見つめる瞳の奥には、別人格がいる女達。
ところが、あゆみからは全く感じられない。