最上さんは佐々木さんから荷物を受け取り、私を部屋に案内してくれた。

「早くしろ」

「無理です、そんなに早く歩けません」

でも、嬉しかった、だって休みは取れないなんて言ってたのに、先回りしてマンションで待っていてくれたんだもん。

最上さん、優しいところもあるんだとちょっと見直した。

最上さんは、部屋のドアを開けると、荷物を部屋まで運び「仕事に戻る」そう言って、出口に向かった。

「あれ、休み取ってくれたんじゃなかったんですか」

「お前の退院如きに大切な有給使えるか」

私は頬を膨らませて最上さんを睨んだ。

「そんな可愛い顔しても駄目だ、午後から手術があるからな」

可愛い顔に反応して恥ずかしくなって下を向いた。

最上さんは私に近づいて、私を抱き上げた。

「きゃっ」

そしてベッドの部屋に歩を進めた。

私をベッドに下ろして最上さんの顔が急接近した。

えっ、キスされるの?

私は咄嗟に目を閉じた。

次の瞬間、おでこにデコピンされた。