「分かっています、だから最後に少しだけ、抱きしめてください、お願い」

そう言って、瑞穂は俺の背中に手を回してギュッと俺を抱きしめた。

その頃、安藤の病院では梨花の姿が見えなくなり、病院は大騒ぎだった。

「いたか」

「いいえ」

「いつから梨花はいないんだ」

「夕食は半分くらい食べて、食器を下げる時はいました」

梨花、何を考えている、まさか最上に会いに行ったのか。

同じ頃、私は最上さんにどうしても会いたくてマンションに向かっていた。

きっと、疲れて寝ちゃって気づいたら朝になっていたってことだよね。

絶対に最上さんだって私に会いたいって思ってくれているよね。

私は気持ちを前向きに保っていた。まさかそんな気持ちが無惨にも音を立てて崩れてしまうなんて……

最上さんのマンションに到着すると、私の目に飛び込んできたのは、最上さんと瑞穂さんが抱き合っている姿だった。

嘘だよね、一週間来られなかったのは、忙しいからではなくて、瑞穂さんとよりが戻ったから……