安藤は大きなため息をついた。

「全くお前ってやつは、外科医としての腕は一流だが、女の扱いは下手だよな」

「うるせえよ」

「瑞穂にもちゃんと気持ち伝えろ、避けていても問題解決にはならないぞ」

「ああ、そうするよ」
俺は安藤にこんこんと説教されて、仕方なく瑞穂に会うことにした。

カルテに連絡先が記載されていたので、連絡をとった。

「丈一郎さん、嬉しい、連絡くれるなんて」

「梨花から聞いた、俺と話したいんだって」

「梨花さんはちゃんと伝えてくれたのね」

「梨花は俺の妻だからな」

「えっ、丈一郎結婚したの」

「ああ」

「いつ?この間梨花さんはそんなこと一言も言っていなかったわ」

梨花のやつ、ただの患者だと伝えたんだな。

「この間婚姻届を出したばかりだが、だいぶ前から一緒に暮らしていた」

「そうだったの」

「話ってなんだ」

俺は分かっていたが敢えて聞いてみた。

「丈一郎さんは、梨花さんを愛しているの?」

「ああ、梨花を愛している」