「ああ」

最上さんは私の方に振り向きニッコリ微笑んだ。

「梨花おとなしくしていろ、またくるからな」

「はい」

そして最上さんと安藤さんは病室を後にした。

俺は安藤の今までにない真剣な表情が気になった。

「梨花はやばい病気か」

「再生不良性貧血だ」

「再生不良性貧血」
「免疫抑制療法を行う、造血幹細胞を攻撃しているリンパ球のはたらきを抑えて血液細胞をつくる機能を回復させる治療法だ」
「そうか、よろしく頼む」

「なあ、最上、ちゃんと毎日見舞いにこいよ、忙しいのは分かるが、同じ過ちを繰り返すな、いいな」

「ああ、分かったよ」

「それから、瑞穂が今更なんだって?」

「まだ顔を合わせていないが、梨花に接触したみたいで、俺と寄りを戻したいと言ってたとのことだ」

「梨花ちゃんにちゃんと言ったのか、お前の気持ち」

「ああ、寄りを戻す気はないし、梨花と離婚する気はないと伝えたよ」

「そうじゃないよ、愛してるって梨花ちゃんに言ったか」

「言わなくても分かるだろ」