「本当に来てくれるんですか」

私は満面の笑みで答えた。

「おい、ちゃんとこいよ、こないと梨花ちゃんは俺が貰っちゃうぞ」

「絶対に行くよ」

スマホは切れた。

「安藤先生、ありがとうございました」

「梨花ちゃんにとって、最上が一番の薬だな」

「はい」

そして、その日の八時くらいに最上さんは病院へきてくれた。

私は今か今かと最上さんを待っていた。

病室のドアがノックされて、最上さんが姿を現した。

「梨花、どうだ、具合は」

「最上さん、ここに座って」

私はベッドに手をおいて座る場所を示した。

最上さんはベッドに腰をおろし、私と目の高さが同じになった。

「そんなにじっと見てると金取るぞ」

何を言われても全然平気、目の前に最上さんがいるだけで私は幸せだった。

もう、あと数センチと唇が近づいた時「おい、ここはホテルじゃないぞ」と安藤さんの声が聞こえた。

最上さんは安藤さんの声がする方へ向きを変えた。

「バカ言え、何もしてねえよ」

「最上、ちょっといいか」