「なんか食べさせて欲しいって言うのでお粥を作ってあげたんです」

「そこに最上が帰って来たんだ」

「はい」

「そしたら、最上がヤキモチ妬いたってことか」

「ヤキモチ?追いかけたいなら勝手にしろって怒鳴られました」

安藤さんは笑っていた。

「私、離婚されちゃいますか」

「梨花ちゃんがサインしなければ、離婚にはならないから安心して」

「でも……」

「よし、最上に電話してみるか」

安藤さんはスマホで最上さんに電話した。

「梨花に何かあったのか」

最上さんの慌てた声がスピーカーから聞こえた。

「何にもないよ、今、梨花ちゃんと愛を語り合っていたところだ」

「違います、ちょっとお話してただけです」

「そうか、元気そうでよかった」

「最上さん、お見舞いにきてください」

「俺は忙しいんだ」

私は今まで最上さんに言ったことがない言葉を発した。

「お願い、最上さんに会いたいの、ね、お願い」

少し間が空いて「わかった、仕事終わったら梨花に会いに行くよ」と言ってくれた。